油と鰻

2026/05/04

荒木建策(放送作家/脚本家)

ゴールデンウィーク初日のことだ。
ガソリンスタンドで価格を見てみると、
ハイオクもレギュラーも軽油も全て
1(円)となっていた。

正確には、
ハイオク 1空空
レギュラー1空空
軽油   1空空 
(「空」と書いているのではなく空欄)
という表記だったわけで、つまりは、
100円代のいくらかであることだけが表記され
下2桁が伏せられていたのだ。

ゴールデンウィークの稼ぎ時、
価格を決められずにいたか、
中東情勢や近隣他店との兼ね合いで
随時変動してしまうため、
伏せるしかなかったのかも知れない。

しかし、見ようによっては1円。
ハイオクもレギュラーも軽油も全部リッター1円。
これがセルフだというのだから、
タチの悪い人が満タンにして、
「おいおい1円だっつーから入れたのによ!」と
ゴネても、
スタンド側は平謝りするしかない。

で、ゴネた人間としては、
元々こんなのでゴネてるわけだから、
それくらいで引っ込みつく訳がない。

「じゃあ、入れた分は全部回収して金返せや」と
来るのではないだろうかと。
そしたらスタンドはどうするのだろうと。
灯油のあのシュコシュコポンプとかで
手作業でタンクから吸い出すんだろうか、
などと一人で勝手にドギマギしていた。

そこで思い出したのが2008年頃の話。
ガソリンの暫定税率が廃止になった時、
4月の1日から「はい廃止」ですと言ったところで
「備蓄分」は高値で仕入れてるんだから、
すぐに安くなるわけないだろう、と思っていたら
ガソリンスタンドはすぐに安売りを始めた。
実質、赤字だというのに、
どこもかしこも即日安値で売り始めた。
どこかがやり始めたら
うちもやらん訳にはいかんだろう、
ということだったのだろうか?

ガソリンのことは、
正直よく分からないのだが、
最近、違う分野で同じことが起こった。
「鰻」である。
今年、稚魚が近年稀にみる豊漁で
鰻の価格が急に下がったのである。

客に出される鰻は、もちろん稚魚ではなく、
あまり獲れていなかった年に水揚げされた
稚魚を養殖したものなのだが、
それでも下がっているのである。
仕入れ値を反映させなくて大丈夫?
という単純な疑問。
教えて賢い人!

余談ではありますが、値下がりに乗じて、
「春の丑の日」に鰻を販売し始めた
セブンイレブンの商魂と
文化ぶっ壊し社風には嫌悪感しかない。