モブキャラ荒木

2026/06/15

荒木建策(放送作家/脚本家)

私の趣味のひとつはゲームである。
ハードの値段はどんどん上がっているが、
ソフトは40年前とほとんど同じ価格。
1本買えば100時間以上遊べるものもあるし、
なんなら、それが普通だったりする。

オンラインのものになると、
10年間毎日同じものを遊んでいたり、
リアルよりもゲームの中にいる時間の方が
長いという人も珍しくはない。
なんてコスパのいい趣味だろう。

1985年発売の『スーパーマリオブラザーズ』は
発売時、4,800円という価格であったが、
今、あのクオリティとボリュームで
4,800円だったとしたら大炎上必死。
マリオを否定しているわけではなく、
あのクオリティのゲームが最先端で、
誰しもが面白いと感じる時代は
なんて幸せだったのだろうとも思うのである。

哀しいかなゲームのクオリティは、
ユーザーの「もっともっと」という要望から
時代を経るごとに目まぐるしい進化を遂げ、
いまやVRなんて使用しようものなら、
視覚的にはほとんど現実と変わらない。
さらに、AIの進化もここに加わってくる。
昨今、その内AIが自我を持つ可能性について
言及されることが多くなってきたが、
それはつまり、
ゲーム内のモブキャラが自我を持つ日も
そう遠くないということなのである。

だから、今回は
シミュレーション仮説について話そう。

シミュレーション仮説とは、
私たちが生きているこの世界や宇宙が、
高度な科学文明によって作られた
コンピュータ・シミュレーションの中だとする
ニック・ボストロムというスウェーデンの哲学者が
2003年に提唱した説のこと。

著名なところで言うと、
ホーキング博士は
「この世界が現実である可能性は50%」
イーロン・マスクに至っては
「99%この世界はシミュレーション」と
このシミュレーション仮説を強く推している。

「私たちは人間の知力を大きく超えた存在が
作り出したコンピューターの中で生きている」
などと哲学的な観点から言うと、
多分、多くの人からはオカルト人間扱いだろうが、
よく調べてみると、それを否定できる要素はなく、
むしろ、その方が現実的だということが
分かるだろう。

私は、まあ60%くらいかなと
シミュレーション仮説を少し推しているが、
自分がコンピュータ内のモブキャラだと思えば、
なんか生きやすい気がするので、
皆様も是非、調べてみてください。

※余談
最近の若者は「ゲーム」を
ゲー(↑)ムと発音しがち。
ゲー(↓)ムとゲー(↑)ムでは、
ちょっとした意味の違いが存在するし、
前回のコラムに通ずるものがあるような…?