リクライニングについてのとあるひとつの提案

2018/04/02

学生の頃、帰省するために乗り込んだ飛行機で、
後ろの席にいた好々爺に目配せをしてから席を倒すと、強烈な舌打ちをされた。
それ以来、リクライニングは常に起こした状態で、
背筋を伸ばして座っている私だが、実際、前の席にいるのがたとえ感じの良さそうな方でも、
シートをガタッと倒された途端「およよ」となるのが人というもの。
そもそも、乗り物全般の座席は、何故起こした状態がデフォルトなのだろう。
フルに倒れている状態をデフォルトとし、起こしたい人だけ起こすことにしたら、
機内の雰囲気は今よりずっと良くなるだろうし、
缶ビールのコクだって増すだろうし、
おつまみや航空会社のグッズの売れ行きも上がるだろうし、
それによってチケットの値段も下がるだろうし、
原稿だって締め切りを少しばかり過ぎたくらいなら、
みんな笑顔で許してくれるようになると思うわけなのだが、
そうなっていないということは、何かのっぴきならない事情があるのだろうか。
あるんだろうな。


荒木建策