セカンドバッグの中身

2017/12/18

再び大阪にいる。
この町のおっさんのセカンドバッグ所持率は、多分日本一である。
小学生のランドセルには教科書と筆箱と、未来への希望が詰まっているのに対し、
中年が抱えるセカンドバッグには名刺と携帯と…、そして何より諦めがパンパンに詰め込まれているような気がする。
しかし、開き直りでなく、心から、諦めて何が悪いとも思うのである。
今さらJリーガーにはなれない。
プロボクサーにも甲子園球児にもなれない。
ありとあらゆるものを諦めて諦めて、諦め続けてきたからこそ、その夢を他人に託すことができる。
つまり、セカンドバッグに詰まっているのは、諦めでありながら、ケレン味のない優しさでもあるのだ。
そう思いながら、郷に入っては、と、立ち寄ったお店でセカンドバッグを手に取ってみたのだが、
やはり暴力的なまでにダサく、いつか似合う日が来るまでと、購入を諦めた。


荒木建策