パーフェクト・ヒューマン

2018/03/19

パン工場でバイトしてた方がマシなんじゃないかというくらい、
内容的にも金銭的にも安い仕事が山積し、疲労困憊の私がこうしてPCの前に座っていられるのは、
真っ赤な牛に翼を授けられたからではなく、とあるディレクターの言葉に支えられているからである。
その昔、書き上げたナレーション原稿に無断で手を加えられ、
間違った日本語だらけのNAが電波に乗るというゾッとする体験をして以来、
確認のため、原稿を送った後には電話を入れることにしている。「大丈夫ですか?」と。
「大丈夫だと思います」「まぁいいんじゃないですか」「これでいきましょう」。
返答は人によって様々だが、あるディレクターは嬉しいことに、問題がなければ決まってこう言い切る。「完璧です」。
そう、私は褒められると伸びるタイプであり、
かれこれ6日前の「完璧です」が、今も私を奮い立たせているのである。


荒木建策