他人のスマホを勝手に見ても良い唯一のタイミング

2018/08/20

会議に間に合うギリギリの時間に電車に飛び乗り、
シートにドカッと腰を下ろした瞬間、尻に違和感を感じた。
恐る恐る尻をどかすと、誰かが忘れたであろうスマホがあった。

さて、どうするか。

スマホを紛失すると、電話もLINEもできない、
終電の時間がわからないから気になって踊れないと、
もう清々しいほど何もできない。
持ち主も相当に困っているはず。

どうにか知らせてあげたいという親切心が8割、
残り2割は興味本位でいじっていたところ、海の写真が出てきた。
それも1枚や2枚ではない。

50~60枚ある写真は全て、誰もいない見るからに寒そうな海。
その時点で「あっ」な感じなのに、その内の一枚に文字が被せてあった。

「一人だって生きていける」

いや、君は無理だ。

一人で生きていける奴がフラっと海に行ったりはしないし、ポエまないし、
そもそもスマホなんて持たなくていいじゃないか。

それでも必要だというのなら、
渋谷駅に電話してみるといいい。
届けておいた。


荒木建策