除夜の夜

2019/01/07

あけましておめでとうございます。

年頭ぐらいは、そういった折り目正しい挨拶で始めるべきなのだろうが、
賞味期限の迫った伊達巻きを頬張りながら「ことよろ」と、
見るからにだらしない挨拶をしたくなるようなパッとしない年末年始だった。

特に大晦日は酷かった。
野郎何人かでしこたま飲んだ後、酒と年末、2つのアッパー要素に力強く背中を押され、
新婚家庭にアポなしで押しかけたはいいものの、
奥様がかなり冷ややかで、視線、語尾、マドラーの使い方、全てが我々を拒絶していた。
肴に出された鶏の唐揚げを大袈裟に褒めても、
「そうですか。スーパーに伝えておきますね」と突き放されては、
もはやソファに寝転がって「ガキ使」どころの騒ぎではなく、そそくさと退散。
飲み直そうにも店は全て閉まっており、仕方なく買い置きしていたチューハイを煽った瞬間に寺の鐘が鳴った。

なんとも言えない心境のまま年が移りゆくのを感じた除夜であった。


荒木建策