初夢

2020/01/06

初夢はその年の吉凶を占うとされているが、ならば私の2020年はどういった1年となるのだろうか。

夕暮れ時にマクドナルドでおやつがわりにフィレオフィッシュを頬張っていると、隣の青年の背中が触れた。
私に背を向け、女子と何やら楽しそうに話しているその青年は、
濃いブルーのキャップを後ろ前にかぶっており、キャップのツバにはシールが貼ったままだった。
どうしてシールを貼ったままにしておくのだろう。
雨露を防ぐひさしのように、真っ直ぐ突き出たキャップのツバに、
サイズを示すシールを残しておく意味がどうしても理解できぬまま、私はそのシールをはがそうとしていた。
背を向ける彼に気づかれぬよう、小指の爪で少しずつシールをはがしていき、
指でつまめるほどにめくれ上がったところで大きく息を吸い込んだ。
さあ、ここからは一気にはがしてやろうぞと、タルタルソースのついた指をひと舐めしてから、
めくれた部分をつまもうとした瞬間に夢から覚め、現実に引き戻された私には、
果たしてどういった1年が待ち受けているのだろう。
一富士二鷹三茄子。
初夢で見ると縁起がいいと言われているアイテムは、どれひとつとして出てこず、
今年もまた若干の不安を抱えたままのスタートである。

皆様、今年もよろしくお願いいたします。


荒木建策