親切orお節介

2020/01/13

先日、数年振りに会った友人の頭頂部を見て驚いた。
前に会った時には土俵際で踏ん張っていたのに…。
ハゲとするのは大袈裟だが、薄毛と呼ぶには寂し過ぎる、
激しいレースを繰り返した競馬場の如き頭髪は、完全に俵から足が出ていた。
行事が相手に軍配を上げていた。
もはや負けを認めざるを得ない状況であった。
三十代後半。何も人生に負けたわけではない。
他の人よりいささか早く、髪との戦いに敗れただけである。
崎陽軒のシウマイを思う。
底に入っているグリンピースは親切心か、お節介か。
グリンピースが苦手な私にとって、あれは心より邪魔である。
はしたない話だが、底にあるグリンピースをひとつずつほじくってから頂くとはいえ、
崎陽軒を責めようとは思わない。
そこには味や彩りを考えた親切心が見え隠れするからだ。
彼の懐に入り込み、もう無理だから髪を刈ってこいとはっきり伝えたとしたら、彼はどう捉えるだろう。
お節介だと腹を立てるのか、親切心と受け取ってくれるのか。
その2つの間をゆらゆらと行き来しながら、
こんな多くの目に触れる場で思い切り書いちゃっていいのかと、不安になっている自分がいる。
友人各位、奴に余計なことを伝えぬこともまた、親切心であることをお忘れなきよう。


荒木建策