おにぎり

2021/01/11

荒木建策(放送作家/ アリゴ座主宰)

牡蠣と牛肉の次におにぎりが好き。
好きな食べ物ランキングで、おにぎりが上位にくる人はなかなかいないだろうけど、
私はおにぎりに嘘はつけない。
「たかが、おにぎり」。
そんなことを言う人とは仲良くなれない。
おにぎりには魔法がかかっている。
茶碗にごはんを入れて、そこに塩を少しふりかけて、おかかを乗せたごはんがあったとしたら、
まあまあ美味いだろうけど、握ることで旨味は何倍にも増すのがおにぎりの魔法だ。
天むすの海老なんて本望だと思う。
自分の最後がおにぎりの具材なんて、私なら神に感謝しておにぎりに刺さることだろう。
喜びのあまり刺さってなお尻尾が動いてしまうかも知れない。
ツナマヨなんて、主張する場所がサラダぐらいだったのに、
おにぎり界ではそれなりにエース的な扱いを受けているし、
おにぎりは食材を救って活躍の場を与える優しさもある。
ただ、コンビニのおにぎりは美味いが、駅などで見かけるおにぎり専門店に比べるとやはり少し劣るだろうか。
どうしても、人肌で握った際の魔法がかからないのだ。
私はもしかしたら、手作り感のあるものが好きなのかも知れない。
そういえば子どもの頃、風邪をひいて高熱を出して弱りながらも、少しずつ食欲がでてきたら、
母が醤油とおかかのおにぎりを作ってくれた。その思い出が強く残っているのか。
欲を言えば、もっと安くして欲しい。
おにぎり専門店は一個200円オーバーが基本だし、物によっては300円を超えるものもある。
小さな子どもがあれも食べたい、これも食べたいと言えるぐらいの価格であって欲しいし、
部活帰りの学生が気軽に買えるようならなお良い。
おにぎり2個に、味噌汁をつけて、お茶まで頼んだら700円って…。
たかが、おにぎりじゃねーか。
おにぎりのくせに生意気じゃねーか。
やっぱ俺、オムライスが好きだ。