香典返し

2017/04/10

数年前はカタログギフトだった。
知人のお葬式の香典返しは、分厚いカタログギフトだった。
「おいおい、葬式だぞ?」心の声が聞こえた。
「不要かもしれないものをお返しするより、
  各自必要なものをカタログから注文して取り寄せてもらった方がいいよね?」遺族の声が聞こえた。
「最近は、そういう理由でカタログギフトを選ばれる方が増えているんですよ」業者の声も聞こえた。
どんな気持ちで選べというのだろう。
どんな気持ちで食えと、使えというのだろう。
そんな複雑な気になった体験だった。

そして先日。
香典返しで頂いたのはカタログではなく、ひとつひとつ個別包装された梅干しだった。
そして、これがまさかの激旨。
今まで食べたどんな梅干しより旨く、無くなったらお取り寄せしようと
パッケージの情報をもとに楽天市場を検索し始めたところで、ふと我に返った。
「あれ?結局一緒じゃん。弔う気持ちどこ行ったー!!」


アマゾンより楽天派作家
荒木建策