不動産の写真に想う 2/2話

2023/09/12

荒木建策(放送作家/アリゴ座主宰)

この感覚はまさに、
出会い系サイトで、
プロフィール写真を見て気に入ったのに、
実際会ってみたら全然違う!のソレ。
似ている、というかまるで同じ
だと思った。

...出会い系。
今はマッチングアプリと呼ぶようになり、
聞こえもよくなったし、
カップリングのきっかけとしても
多数派になっているのは
理解している。

今度結婚する古くからの知人も
マッチングアプリで
知り合ったというし、
ああ、そうなのかと全く偏見はない。

しかし、
ひとつ気がかりなのは
彼の相手がプロフィールに
別人かと思うくらいの
加工した写真を載せていたということ。

「実は初めて会ったとき、
写真と全然違うなとは思ったんだよね」
と笑い話にされたのは少し気がかりなのだ。

見た目を重視しているわけではない。
そう言われると聞こえはいい。
だが、
自分をよく見せるために、
加工した写真を載せてしまう
精神性に疑問を抱かないのかということ。

ここが不動産写真と共通しているところで、
写真で見て住みたいと思った部屋を
内見に行った際に、
詐欺写真を見ていた場合
「写真より狭く感じますね」
といった事態が間違いなく
発生するわけで、
それに伴う、
「なんで広く見えるような
詐欺写真を載せているのでしょう?」
という疑念や
その写真を撮り、サイトで使用している
管理会社には不信感しかなくなってしまう。

そこは、
実は日本人の国民性に
大いに関係している部分がある。
会う手間、見せる手間を
「設けてもらった」
という引け目によって
まぁ、
ちょっと理想とは違うけど...
いいかで許容してしまう。
そういった国民性のことである。
良いのか悪いのかは別として。

一度、見せる。
相手の前に立つ。
そのワンチャンスのために
詐欺写真は存在するのだと
確信した新居選びでした。

家と嫁を一緒にするなと
不快に思われた方、
本当に申し訳ございません!!