飯自縛テロ

2023/12/18

荒木建策(放送作家/アリゴ座主宰)

年末が近くなると、
タレントとの打ち合わせのときに
その年の振り返りとして、
「今年、一番美味しかったものは?」などと
尋ねることが多いのだが、
自分自身でも毎年、写真を見ながら振り返る。

飯テロ。
空腹時に、それも食べられない状況で
見せられるうまそうな物ほど辛いことはないわけで、
深夜にインスタなどを開くと、
狙ったような飯テロリストが
私のお腹と頭を狙ってくる。

さて、今日はリベンジである。
私の「今年美味かったものランキング」を
発表しようではないか。

まずは、5位から。
5位は、東京駅で購入したお弁当。
肉はもちろん、タレも美味しく、ごはんに合う。
薬味のネギを絡めれば食感も楽しめて、
品川に着くころにはなくなっていた。

4位は、神奈川県は関内にある、
蕎麦屋「松かど」さんのカレー。
豚肉や目玉焼きが豪華に入ったカレーは、
蕎麦屋ならではの出汁の効いた味で、
皿まで食べてしまいそうになるほどだった。

3位は、長崎の町中華「有華飯店」さんのちゃんぽん。
スープにはしっかり鶏ガラや豚骨のコクがあり、
具材の野菜や魚介がアクセントを加えている。
行列嫌いの長崎市民が平日にも関わらず、
長蛇の列を成していたのにも頷ける。

2位は、高田馬場から。
こんなところに飲食店があるのかと
疑いたくなるような場所にある「玲音」の坦々麺。
辛さだけがウリの坦々麺とはまったく異なり、
辛さの中に甘みもあり、
スープがどろっとしていて麺に絡みつく。
シメにスープの中へ小ライスを放り込み、
雑炊風にして食べれば完璧。

そして、私の1位は、
長崎「大阪屋」で食べたサガリ刺し。
霜の降ったサガリは、完全に生の状態で
生肉好きの私にはたまらない見た目。
それを3種類のタレで頂くのだが、
舌の温度で溶けていくほどの柔らかさ。
ワインが本単位で消えた。

...ああ...腹が...減った。

冷蔵庫にはなにもないし、
今は家から出られない状況である。
飯テロに踏み切ったはいいが、
一番の被害者は本人だったということで
お許しください。

なにか心が満たされるいい写真はないかと
フォルダーを眺めていたら、
もっと腹が減るという、
いわば、飯自爆テロを起こした話。