真夏のフリーマーケット

2017/07/31

友人がフリーマーケットに出店するとのことで、ゴミ袋一杯分の冬服と一着の革ジャンを託した。

服は、どうでもいい。
いくらでさばいても構わないが、10万以上したこの革ジャンだけは、せめて3万円は取ってくれ、と一言添えて。

数日後、居酒屋にて再会すると、彼は嬉々としてフリマの話を始めた。

ほとんど全てのものを売り切った、
オレもやる時はやるんだと、鼻の穴をおっぴろげて言うからには、気になるのは例の革ジャンだ。
「いくらで売れた?」と私が尋ねると、彼は申し訳なさそうに指を2本立てた。

最低でも3万は取れとあれほどキツく言ったのに、
どうして2万なんだバカ、と冗談交じりに責めると、彼は静かに首を横に振った。

なんと、単位は万ではなく千で、さらに「真夏に革ジャンなんて売れるかバカ」と返された。

2千円なら今年の冬も着るよバカ。


荒木建策