謙虚であるために

2017/09/18

ヒゲで白髪で老眼鏡を掛け、柔和な笑みを浮かべたその姿は、
見知らぬ子供に、アメ玉でも配っていそうな好々爺だが、
冷静になってよく考えると、ちょっといやらしくないかこの爺さんといった疑念が沸いてくる。
カーネル像の話だ。
何らかの功績を認められ、人に贈られたのならわかる。
しかし、あの像は自らの会社で作り、しかも多くの目にさらされる店先に飾っているわけである。
主役はオレ、オレが主役の打ち出しの強さ。
自らの像を自ら作ってしまう開けっ広げの感覚。
それがアメリカなのかもしれないし、そうでないと会社など続かないのかもしれないが、私は苦手だ。
私は自らの像を作る人ではなく、贈られる人となりたい。
謙虚でい続けることを忘れぬため、
私は今日もフライドチキンを食べる。


荒木建策