過剰な包装と自意識

2017/10/30

うちの劇団のしかまるは、最近、週に2度も「アリゴ座の方ですよね?」と声を掛けられたらしい。
羨ましい限りだが、ついに私にも、その時が訪れた。

新幹線の車内で、ちくわを開封しようとしている私に、斜め後ろ辺りから、チラリチラリと視線を向けてくる青年。
おそらくは、私がアリゴ座主催の荒木と知ってのことだろう。
5分後。それにしてもじれったい。
なかなか開かぬちくわのパッケージ以上に、彼の視線がじれったい。
「どうも」でも「こんにちは」でも、何なら気安い感じの「よう」でも、
とにかくひと声くれればそれなりの対応ができるのに、
チラ見のラインを一向に超えてこない彼にしびれを切らし、ならばこちらからと踏み込んだ。
視線を感じた瞬間に彼の顔を覗きこむように見ると、ようやく声を掛けてきた。
「よろしければ自分が開けましょうか?」

さらに精進します。


荒木建策