同族嫌悪?

2017/11/27

前に並んでいたのは年の頃は40前後、仕立てのよさそうな服に身を包んだ男女だった。
2人は付き合っているのか、それともただの同僚なのか。興味はないし、これといって知りたくもない。
さっさときつねうどんなり、かき揚げそばなり、押してくれさえすればいいのに、
男の方が顎に手を当ていつまでも悩んでいる。
だが、私に腹を立てる資格などあろうはずもない。
食うのは早いが、決めるのは遅い。
そんな私が、どうして食券機の前で固まる男性に腹を立てることができよう。
「とろろそばにしようかな。どう思う?」
「いいんじゃない」
「ホントに?」
「うん」
「でも、オレとろろ好きじゃないんだよね…」。
悩め悩め、とことん悩むがいい。
そう思いながら、般若のような顔でデカめの舌打ちをして店を出た。



荒木建策