人情の町

2018/04/30

関西のテレビ局の方から、周年記念特番の構成の話を頂き、日帰りで大阪へ。
空いた時間を利用して街を散策した。
ネギ焼きを初めて食べた。お好み焼きはフワフワしていた。
しかし、最も印象に残っているのは自転車のベル。
手元の地図と目の前の風景を交互に見やりながら歩いていたせいもあるだろう。
大阪の道を歩く際の何かを理解していなかった可能性もあるだろう。
だからといって、そこまで鳴らさなくても…とは思わなかった。
何故なら、大阪のベルには愛があるからだ。
とある歩道でチャリンチャリンと鳴らされ、私は道をあけると同時に謝った。
「あっ、すいません」
「謝ることないでー」
「えっ?」
「よそ見しとったら危ないでー」
そこにあるのは、飲酒運転や未成年淫行など、法に触れる行為を目ざとく見つけ、
徹底的にその人を追い詰めるといったカラッカラに渇いた正義ではない。
愛情を含んだ親切心であり、粉物は美味しいし大阪もいいなぁと思ったが、
それを理由に移り住むという考えには、絶対に至らない何かが大阪にはあるのも、また事実である。


荒木建策