並でええねん

2018/05/07

普段から声高らかに叫んでいるのだが、まるで聞く耳を持たぬのでここに書いておく。
もういい加減にしてくれないか。
無料で麺を増やせるサービスは、少なくとも私にとってサービスではないことに、
そろそろ気付いてはくれないだろうか。
「無料で大盛りにもできますよ」
いくら食っても食い足りぬ時代はとうに過ぎたのだ。
並で十分。並で十分なのだ。
だが、無料と知って麺の量を増やさぬのはヘタレのような気がするし、
そもそも貧乏性な私は損をした気にもなる。
だからといって大盛りにすれば、最初の内は得した気分でいられても、
おやつを食べておきながら大盛りなんて、やはり三十も半ばを過ぎた男のすることではなかったと、
最後には決まって後悔することになる。
増やすも地獄。増やさぬも地獄。
どちらを選択したところでどうにもスッキリしないサービスは、
「大盛り」という美しい響きに今なお執着心を抱く中年にとって、もはや罰ゲームでしかない。
こうなったら意地である。
麺の量を増やしたら、増やした分だけ料金を取るシステムになるのが先か、
大盛りを端から諦められる中年になるのが先か。
決着が付くまで通い詰めようだなんて、母さん、今日もこの国は平和です。


荒木建策