ティッシュが欲しかった話

2018/09/03

もしも今、白髭を伸ばしたい放題に伸ばした痩せぎすの神様が目の前に現れ、
「何でも一つだけ願いを叶えてやる」と言ったら、私はこう願うだろう。

どうも風邪をひいてしまったようで、昨晩から鼻水が止まらない。
こんな状況であるから、ティッシュ切れは命取りと、
今朝、仕事場へと移動する途中、ティッシュを配っていた金髪のお兄さんに自ら近づいた。

いつもは向こうから強引に手渡してくるティッシュを、
今朝は私からもらいにいったところ、金髪に同じ単語を4回繰り返された。

「無理無理無理無理」

1回目の無理で、「えっ、どうして?」と疑問を抱き、
2回目の無理で女性にのみ配るティッシュであることに気付き、
3回目の無理で自分が浅ましい人間のように思えたきたが、
4回目の無理で死ぬほどカチンときた。

風邪が長引いたっていい、一生ティッシュがもらえなくてもいい、
どうか神様、あの金髪をインフルエンザにしてやってください。


荒木建策