乗り物酔い

2018/10/29

一口に乗り物酔いと言っても、バスが駄目、ヨットが駄目、メリーゴーランドが駄目と、
特定の乗り物が苦手ならば逃げ道があるからまだいい。

しかし、動くもの全てに酔ってしまうほど重度の場合、
夜中、カンフーの練習をしている最中に左手の小指でもへし折ったら一大事だ。

電話帳で救急病院を探し、急いで向かおうにも自家用車はまずい。
かといって独特な臭いを放つタクシーはもってのほかだし、
ヘリは酔う酔わない以前に呼ぶ術がない。
ジャンボジェットも同様の理由で却下だし、船で病院に横付けするのは難しい。
それなら救急車だ、救急車があるじゃないかと受話器を手に取っても、
救急車も車の一種であることに気付いてしまったら、難しい選択を迫られるのは間違いない。

ちなみに、うちの祖母もその昔、動くもの全般が苦手で、
風邪をこじらせタクシーで病院に向かったら余計に具合が悪くなったとのこと。
「行きはさておき、帰りのタクシーにしてやられた」という先輩のアドバイスを、
夜中に痛んでいるアナタに贈ります。


荒木建策