ジブンルール

2019/05/06

一日の中で許されるミスは2つまでと心に決めている。
2ストライクまで追い込まれたとしても、もう一度ミスをしてアウトになってはならぬ。
もしそうなった場合には罰として、正座で仕事をするぐらいの覚悟を持って毎日を過ごす私にとって、
デパ地下がまさかここまで過酷な場所だったとは。
その時、私は空腹で、口は白米ではなくパンを欲していた。
私は迷うことなくデパ地下のカツを売りとする店に向かい、ヒレカツサンドの最も大きいサイズを購入。
さらに、奥のパン屋で菓子パンを調達した後に来た道を引き返すと、
件のカツ屋に先程まではなかった「全品200円引き」と書かれたパネルが掲示されていた(ミス1)。
ならばと他の店を見て回っていたところ「お惣菜20%引き」の文字が飛び込んできた。
これだ。損失分を埋めるにはこれしかないと、数種類の惣菜をむんずと掴んでレジのお姉さんに手渡したら、
割引除外品であった(ミス2)。
戦場より過酷なデパ地下にもう用はない。
これ以上ミスをしまいと、お得感は皆無のパンと惣菜を抱え、
下唇をギュッと噛みながら小走りでまっすぐ帰ってきたにもかかわらず、正座でこれを書いているのは何故か。
走ってきたせいで小分けの惣菜が混ざってしまい、驚くほどマズかったからである(ミス3)。


荒木建策