煎餅話2

2019/05/27

先週の煎餅話になかなかの反響があったので、今回は最近のイチオシを紹介したい。
丸彦製菓の「うまい煎餅」と「角餅」。これさえあれば10日は生きていける。
一口に煎餅と言っても様々な系統があるが、若い頃は揚げばかり口にしていた。
焼きはジジババの専用食、胃もたれ上等、揚げずに何が煎餅かと、
歌舞伎揚げをあるだけ口にしていた時代が、嗚呼とても懐かしい。
だが、最近は完全に焼き。
しかも堅ければ堅いほどいいのだが、お茶うけではなく主食としてバリバリいくため、
醤油が濃すぎてはいけない。
程よい味付けがベストと、わがままな消費者の要望を全て満たしてくれるのが先のふたつなのである。
私は丸彦の回し者かといった褒め具合だが、この味覚の変化はいつからなのだろう。
知らぬ内に私も大人の仲間入りをしたのだろうか。大人の男になれたのだろうか。
欲望のままに、週一のコラムを煎餅一本で書き切ってしまうとは、
電車で席が空いたと同時に、恥じらうことなく飛び込む日も近いのだろうかと、
自らの変化に戦々恐々としながらまた一枚。
煎餅はやはり焼きである。


荒木建策