完璧な仮眠

2019/06/10

一週間ほど前「電車でよくあそこまで寝られますね」と、嫌味でも何でもなく、
隣で眠りこけていたディレクターにこう切り出した。
「自分は乗り物の中だと、まるで眠れないんですよね」と続けると、
「眠れないのではない。眠るコツを知らないだけなのだ」と諭された。
彼曰く、電車で眠るには、まず、寝室を演出すべくひざ掛けを用意。
体温が低下した時のためにそれをひざに掛ける。
その上で、カーテンを閉め、アイマスクかサングラスをする。
彼はまつ毛に当たるのを嫌うためサングラス派。
とにかく明かりをシャットアウトし、最後に用意するのは耳栓。
寝室と車内の一番の違いは音である。
気付かないだけで、新幹線とて結構な騒音のため、耳栓を両耳にグイグイ押し込めばハイ一丁あがり。
あとは寝るだけ眠るだけとのこと。
これはいい話を聞いたと、翌日アマゾンで耳栓を探しているときに、
オススメを聞こうと連絡してみると、ロケのために新幹線で大阪に向かったはずの彼は、
ちょうど岡山に着いたところだった。
深く眠りすぎるというのも考え物か。


荒木建策