敗北感

2019/09/23

サウナとは、先に立ち上がれば敗者の烙印を押される戦場である。
近所のとある銭湯のサウナ。
リングインしてすぐに周囲を伺うと、
坊主、半目、丸出しというプロ共通の3要素を備えたおっさんが鎮座していた。
実は、このおっさん遭遇するのは2度目。
前回の対戦は完敗だった。
ただし、あの時は私が先にリングインしていたため、
負けても面子を失うことはなかったが、今回は違う。
先にリングインしていたのはおっさんだ。
敵に精神的ダメージを与えようと、表情を変えず、
したたる汗を拭わずに、できる男を演出。
しかし、おっさんの方が一枚上手だった。
演出なのか本気なのか、おっさん何といびきをかき始めやがったのである。
100度の中で寝る男…。
いびきによって受けたダメージは大きく、今回も完敗。
暗い気持ちを引きずったまま飲み会に参加したところ、
サウナで受けた敗北感を払拭しようと思わず酒に走って泥酔し、
まったくいつにも増して冴えない日曜日である。


荒木建策