バラエティモンスター

2019/09/30

10時過ぎに起きて机に向かったものの、
タイプした文字が消化されぬまま吐き出されていくような感覚を覚え、
デニムを履き、近所のパン屋へ行ったら「太った?」と聞かれ、
玉子サンドをかじりながら薬局へ。
用事を済ませて家に戻り、ゲームアプリに興じて3時間経ったところで、
ひとつも面白くないなと思い始めた頃には夕飯の時間で、
伊達巻きとオニオンスープと坦々麺というデタラメなメニューで腹を満たし、
うつらうつらしていたらこの時間ということはつまり、何もしていないわけである。
スカスカな一日。
居酒屋で生を一気するのが仕事だと思っていたあの頃は、毎日がスカスカだった。
ついでに頭の中もスカスカだったというのに、二十歳そこそこの新人ADときたら、
台本の流れを確認する電話で、極々普通にこうのたまうのである。
「街ブラの王道の流れですし、今回は書きやすそうですね」。
資料を印刷するだけのADから、一歩先に進まないと決して出ることはないこのセリフ。
オイオイ、こいつはモンスターか。
ゆとり世代の申し子かと思いきや、バラエティモンスターだったのか…。
ひと回り以上年下の相手に、頭を下げるのはちょっとした抵抗があるものの、
彼になら素直に「遅れてごめんなさい」と言えそうだから、
今日はこのまま店じまい。さあ今夜はもう寝よう。おやすみなさい。


荒木建策