魔法の言葉

2019/12/09

ハンバーガーに飽きて居酒屋の暖簾をくぐる。
と、メニューを広げるか広げないかのタイミングで「先にお飲み物をお伺いします」とくるわけだ。例外はない。
どの店のどの店員も客は飲むものだと思っている。私だって飲みたい。したたかに酔いたい。
その勢いでナンパでもしてみたいが、酔ったらただでさえ遅い筆の進みがさらに遅くなるから、
ウーロン茶をお願いしますの「ウ」が喉元まで出掛かるその刹那、
決まって思い出すのが食後に出てくる熱いお茶である。あれ、タダだよな…。
熱いお茶はタダで飲めるのに、何故冷たいお茶に愛の次に大事なお金を支払わねばならぬのか。
どうしても冷たいのが飲みたいなら熱いお茶をもらってフーフーすればいいとなると、
ここはコーラかと、今度は「コ」が出掛かるものの、
刺し身や煮魚をコーラで流し込むというのは魚に対してもコーラに対しても失礼のような気がする。
失礼を承知でコーラにするか、無駄を承知で冷たいお茶にするか。
お茶かコーラかコーラかお茶か…。
いくら考えても答えが出ないケースで使用する魔法の呪文を、
またしても入稿はギリギリだし、次回も自信が持てないし、お詫びの意を込め皆さんにお伝えしておきたい。
コーラかお茶かを決めかねたとき、問題を一発で解決する魔法の呪文とは、
「とりあえず生」。
私は昨夜も使いましたが、効果はてきめんでした。
気持ちよく酔えましたと、嘘をつけない正直なところが荒木くんのいいところだと言われたこともあります。


荒木建策