綺麗になったようです

2020/02/10

昨日のことだ。
年の頃は20代前半。
ハルベリーを太らせ、日本人の口に合うよう醤油とミリンで味付けしたような女子に、
あふれ出る唾液を吸われながら言われた。
「とっても綺麗…」
歯医者である。
チクチクいじられることおよそ1ヶ月、歯科衛生士さんに初めてほめられたのである。
「汚れているときは、やっぱりアレだったですし…」
診療台で1時間近く待たされたり、
痛いと告げている歯を思いっ切りつつかれ、悶絶する様子を見て、「やっぱり…」とつぶやかれたり、
味わった様々な苦しみを幸せに変える初めてのほめ言葉を、
いつものようにチクチクいじられながら反芻していたのだが、気になるところがひとつ。
「アレだった」の「アレ」がどうも引っ掛かったのである。
汚れていると何だ。
「歯に悪かった」のか「歯周病になりやすかった」のか「モテが遠ざかっていた」という線もあるが、
そんな話題が出てくるような雰囲気でも優しい目でもなかった。
もっとこう、辛辣な内容のことを言っている感じだったのだが…。
「ホント、はっきり言えばいいのにね、臭かったって」
横でダラダラとスパイダーマンを観ている知人も怒っているが、
さすがに「うん」とは言いづらく、できることならハルベリー側につきたい凛とした朝。
さあ、今日もぼちぼち頑張りましょうかね。


荒木建策