友人の息子

2020/04/27

友人たちとのZoom飲み会。
酔おうとしたが、ほとんど酔えなかった。
両親や兄弟や祖父母に次ぐ、ドラフトで言えば6位指名されるくらいの評価を受けていると
安閑としていた私がバカだった。
いざ蓋を開けてみれば、久しぶりに顔を合わせた友人の息子は、私の顔を見るなり怯え始め、ついには号泣。
二度と画面に現れることはなかった。
マネージャーではない。チャレンジャーでも炊飯ジャーでもない。
昨年のクリスマスに、お尻に「ジャー」が付く戦隊モノのおもちゃをプレゼントした際に見せた、
あの笑顔は何だったのか。
「荒木さんはいい人だ」私からのプレゼントを手につぶやいたという、そのひと言は一体何だったのか。
心の中で流れ始めたブルースを聴きながら、やけに塩辛いハムをつまんでいると、
それまで息子につきっきりだった母親が戻ってきた。
「荒木さんを好きになりたいとは思ってる。
今日より明日、明日より明後日の方が好きになってるとは思うけど、
今はまだ気持ちがついていかないんだって」
末は詩人か作詞家か。
キラリと光る才能が垣間見えたのは何よりだが、要するに今現在は…。
今の今まで、女子はともかく男子に好かれたいと思って事を起こしたことなど一度としてない。
しかし、このままじゃ終われない。
嫌われたまま終わらせぬために、できることからやっていこうと思う。
とりあえず、伸び放題の髭を剃ります。


荒木建策