今度はバイキンマン
2021/04/12
荒木建策(放送作家/アリゴ座主宰)
先日、仕事の合間に小腹がすいたので冷凍のピザを温めていたら、
部屋になんともいえない香りが広がった。
最初は焼けたチーズの強い香りで、目を閉じるとフィレンツェのオープンレストランが見え、
「へぇ、冷凍ピザもここまできたか」と感心していたわけだが、目を開けてキッチンを見ると、
実験に失敗した博士の画が浮かぶような光景があったのである。
慌ててレンジの中を覗くと炎が燃えさかり、いつ爆発してもおかしくない状態。
すぐに消火活動に取りかかろうと、コップにありったけの水を入れ、
レンジに手を伸ばそうとしたそのとき、ある言葉が頭をよぎった。
「バックドラフト」
このときのパニック具合ったらないね。
開けたら火が飛び出すかもしれない。
それでも指をくわえていたら中では火がどんどん強くなっていく。
冷静に考えて、小さな電子レンジでなにがバックドラフトだよって話なのだが、慌てていて頭が回らない。
もう一か八か手で開けることを決意。
ただ、顔や目にダメージを負ってはいけないと、
何かのおまけでもらったバイキンマンのお面をかぶって消火活動に挑んだ。
素早く扉を開け、炎めがけて水をかける。
もちろん、バックドラフトなんて起こらないし、
炎が消えたときのジュゥゥゥゥという音と臭いは嫌だったが、
これまでのパニックがまるで嘘のようにわずか数秒で消火となった。
ここで、ようやく勝利の雄叫びである。
「は~ひ~ふ~へ~ほ~」おっさんが一人、部屋の中でバイキンマンのお面をかぶりながらガッツポーズ。
不況だなんだと言われているが、日本はまだまだ幸せな国である。
先日、仕事の合間に小腹がすいたので冷凍のピザを温めていたら、
部屋になんともいえない香りが広がった。
最初は焼けたチーズの強い香りで、目を閉じるとフィレンツェのオープンレストランが見え、
「へぇ、冷凍ピザもここまできたか」と感心していたわけだが、目を開けてキッチンを見ると、
実験に失敗した博士の画が浮かぶような光景があったのである。
慌ててレンジの中を覗くと炎が燃えさかり、いつ爆発してもおかしくない状態。
すぐに消火活動に取りかかろうと、コップにありったけの水を入れ、
レンジに手を伸ばそうとしたそのとき、ある言葉が頭をよぎった。
「バックドラフト」
このときのパニック具合ったらないね。
開けたら火が飛び出すかもしれない。
それでも指をくわえていたら中では火がどんどん強くなっていく。
冷静に考えて、小さな電子レンジでなにがバックドラフトだよって話なのだが、慌てていて頭が回らない。
もう一か八か手で開けることを決意。
ただ、顔や目にダメージを負ってはいけないと、
何かのおまけでもらったバイキンマンのお面をかぶって消火活動に挑んだ。
素早く扉を開け、炎めがけて水をかける。
もちろん、バックドラフトなんて起こらないし、
炎が消えたときのジュゥゥゥゥという音と臭いは嫌だったが、
これまでのパニックがまるで嘘のようにわずか数秒で消火となった。
ここで、ようやく勝利の雄叫びである。
「は~ひ~ふ~へ~ほ~」おっさんが一人、部屋の中でバイキンマンのお面をかぶりながらガッツポーズ。
不況だなんだと言われているが、日本はまだまだ幸せな国である。