読み漁る

2021/04/26

荒木建策(放送作家/アリゴ座主宰)

読書の秋と言いますが、コロナ禍では季節不問。
暇さえあれば、小説、漫画、ジャンルを問わず
パラパラとページをめくり、読み終えるたびに購入。
そんなことをしていると財布が軽くなるばかりなので、
何か良い案はないかと考えたところ、
うちから徒歩10分の区立図書館に辿り着いた。

無料で本が借りられて金銭的に楽だし、
返却するから本の置場にも困らない。
しかも、大きな図書館だから種類も豊富と
まさに至れり尽くせりじゃないか。
何故、こんな簡単なことに気付かなかったのか。

というわけで、図書館に行ってきた。
残念ながら初日はピンポイント、
それも変則的な休館日を掴まされ、
押しても引いても開かない入り口をガチャガチャやったが、
次の日、数年ぶりに図書館へ入り、
独特の雰囲気を体験。
「わっ、くさっ!本くさっ!小学校の図書室のにおいだ!」
それにしても、相変わらず息を吐くのにも気を遣う雰囲気。
少しでも笑ったら参考書を電話帳のようにめくる浪人生に睨まれるだろうし、
得意のボイパを披露したら3年は出入り禁止になりそうだが、
この空間は嫌いじゃない。

平日の昼間から図書館に足を運べるというのは、
自由業者の特権である。
たまには、時計の針の音を感じられる日があってもいい。
これはきっと一足早い誕生日プレゼント。
いい場所を見つけたとニヤけていたら、
急におばちゃんたちが大音量の井戸端会議。
しかも、おばちゃんたちには受付の人も含まれており、
図書館の秩序はどこか遠くへ吹っ飛んだ。

これにはさすがにと肩を落とし、
本を選ぶことなく退館。
せっかく憩いの場を見つけたと思ったのに…。
そういうことなので、当分はamazonに頼ることになりそうです。