パクリ

2017/02/20

26歳の頃に行った南青山のクラブに、
皆が踊り狂う中、フロアの片隅でぽつねんと、
一人もくもく酒を飲むパーマ頭の男性がいた。

私も踊るタイプではなかったので、思い切って話しかけてみた。
それが、今では超のつく売れっ子作曲家となった、
林ゆうきさんとの出会いだ。

数年前、彼が興味深いことをSNSに書いていた。
ざっと言うと、こうだ。
「自分が作曲した曲が、知らなかったそこそこ有名な曲と、
  めちゃくちゃ似てるのを楽曲提出前に気付いたのだが、
  パクリじゃないし、俺が作った曲の方が良いから、
  ドヤ顏で提出した」。

感動した。
自信。
そこそこ売れてる曲を超えていると言える自信。
ゆうきをもらった。

それから数年、ある脚本の賞で最終選考まで残り、
何故か面接を受けることになった。
その時、面接官から、
「これって、oo監督の三億円の話に似てない?」と聞かれ、
「その映画観てませんし、似てたとしても、こっちの方が面白いですよ」。
これが言えたのは、林さん、あなたのお陰だ。
面接は落ちた。

次回は「やらせ その2」というテーマで書きます。


放送作家 荒木建策