米、いわゆるライス

2021/11/15

荒木建策(放送作家/アリゴ座主宰)

もう数年、自宅に炊飯器がなく、
最近の食事はもっぱら外食かコンビニだが、
たまには、
卵をかけて、とか
肉をおともに、とか
白米を食べたくなるときがある。

そこで調べてみるとフライパンでもおいしく炊けるらしい。
これだ!と、挑戦してみると思いのほか難しい。
特に水の分量である。

米のラインより少し多めに
水が見えるところまでと書いてあったが、
いざやってみると水が多いような気もするし、
少ないような気もするから、さあ大変。
感覚にすら頼れないのだ。

お粥のようにぐちゃぐちゃになるのは嫌だから、
軟らかさよりも硬さを選択。
これ以上の水は投入せず、
フライパンに蓋をして火にかけたわけだが、
目安となる5分を経過しても
蓋越しに水分が飛んでいないのがわかる。

水を入れすぎた。
すぐに蓋を開けてとりあえずかき混ぜてみた。
すると、たしかに表面はぐちゃっとしているが、
中身の硬さが箸の先端から伝わってくるのである。

外はグチャ、中はガリッ。
食べ物の食感にあってはいけない擬音で
絶対的な不味さが伝わってくる。

なんとか、表面の水分だけは飛ばそうと、
最後に弱火で仕上げると、
見た目はまあまあ悪くない。
ただ、中身は硬いまま。
まるで、小さな飴のようだ。
しまった、水が足りなすぎた。

今度は逆に水分が必要な状況になったのである。
どうにかして打破しようと調味料を加えて
ガーリックライスのようなものができあがったが、
芯は保ったまま。
フライパンごと「ごめんなさい」した。

家電の中で重要なのは、
洗濯機と冷蔵庫の2強だと思っていたけれど、
いろいろ傷つけられたくなければ炊飯器を買うべき。
米が刺さって、胸も歯茎も痛いから。