厄&災

2022/01/10

荒木建策(放送作家/アリゴ座主宰)

親戚の集まりで言われた。
「今年、厄年なんじゃない?」

冗談じゃない。
厄年というものが本当にあるのなら
昨年は、なに年だったのか。

年末の話。
ケーキでも買おうと
クリスマスシーズンで混んでいた
ケーキ屋に並んだつもりが、
隣接するラーメン屋の列に並んでいて、
仕方なくラーメンをすすったのが最後のサプライズ。

こってりとした豚骨ベースのスープを
飲めば飲むほど生クリームとイチゴが恋しくなるのは
一種の戦略なのか、
右にいけば左に反発したくなるように、
下にいけば上に向かうのが本来の人生リズムのはずなのに
なんとも低調な一年だった。

漢字一文字で表すなら「無」。
なにかが変わるはずだったのに、
なにもしなければ何も変わらないことに気づいただけで、
ペンネームを「カトリーヌ荒木」に
変えようかとの考えもあったが、
死に際の細木数子が許しても、
ゴ座メンや作家の後輩たちは
カトケンさんと呼んでくるに違いない。

長年守ってきた8番レフトの定位置を投げ捨て、
ピッチャーにコンバートするような
リスクだけは絶対に避けたいし、
名前でなにが変わるというのだろうか。

そうそう、
名前じゃないんだよ。
気持ちなんだ。
来年は無から夢へ。

なんとか自分を信じてやっていこうと思います。