マジック

2022/01/17

荒木建策(放送作家/アリゴ座主宰)

年末の話。
長崎の浜町で立ち寄ったドン・キホーテで、
暇つぶしにマジックコーナーを見ていたら、
なんにんかのおじさまたちが
マジックグッズを手に取っていた。
忘年会で披露するのだろうか。

そこでふと思ったのが、
男のマジック好きについてである。

もちろん、マジック好きは老若男女で
不思議な現象に対して驚くことに差はないが、
女性は見る側が大半で、
披露するのは男性のことが多い気がする。

きっと、マジシャンになった男性は幼いころから
周りを喜ばせたいと考える優しい心の持ち主で、
その気持ちと情熱を維持したまま大人になったのだろう。

人に喜ばれるというか、
興味を持ってもらえるのはうれしいことだ。
人に愛されたいのと思うのはきっといいことだ。

特に男は女性の気持ちを引き寄せたい生き物だから、
世のおじさんたちがマジックグッズを購入するのも頷ける。

だから...
買ったよね。
買っちゃったよね、おれも。
裏から見て、相手のカードが丸分かりなトランプ。

今から20年前、
親友の父が似たようなものを所有していた。
そのトランプのトリックを説明するおっさんの顔は、
人を喜ばせようとする顔ではなく、
人を騙そうとする悪い大人の顔をしていた。

私はそうじゃない。
誰かに喜んでもらいたいから、
笑ってほしいからマジックを披露するのである。

書いてしまったから
全員タネは知っていると思うけど、
次会ったときに披露するので
私を喜ばせたいならビックリしてください。