女子高生の皮を着たドラゴン

2022/02/07

荒木建策(放送作家/アリゴ座主宰)

久し振りに読書でもと
古本屋に行ってみると
昔、読んだことのある『六番目の小夜子』があった。

最近、舞台化されて話題になったが
内容は微かに覚えている程度だったので
読み返してみようと購入。
家に戻り臨戦態勢をを完全に整え、
気合いを入れてページをめくった。

あれ?
10行ほど読み進めたところでなにか違うなと。
内容がしっくりこないし文体もおかしい。
さらに2ページほど頑張ってみたが
やはりなにか変だ。

もしやと、カバーをめくってみたら、
出てきたのは『ドラゴン桜』

落ちこぼれの生徒たちが
先生と東大合格を目指す漫画作品だ。
漫画やドラマなら知ってるけど、
これって文庫本も出てたんだ。

よし、ちょっくら読んでみましょうか...
って、なるかー!

なぜ、恩田陸氏の『六番目の小夜子』の中身が
『ドラゴン桜』なのか。
嫌がらせにもほどがある。
購入する前に確認を怠った自分の過失は5%程度で、
残りは店側にある。
これは返却に行くべきなのだろうか?

しかし、そこで疑いの眼差しを向けられたら
発狂する可能性もあるので、
まだ行動には移せずじまい。

まったく、今年最初のサプライズをありがとうと
言いたいところだが、
何で俺だけこんなことが起こるんだよと、
店主を問い詰めたくなった先月末。