情熱と大陸

2022/03/28

荒木建策(放送作家/アリゴ座主宰)

幼いころはバラエティ番組や
トゥナイト2を楽しみに観ていた私だが
最近はニュース、
そして欠かさずに観ているのは情熱大陸。

今、夢が叶うとしたら、
長友とのサイドバック理論の語り合いよりも、
私は情熱大陸の出演を選択するだろう。

個人の人生の一コマを巧みに抜き出し、
それを上品に見せるナレーションをはじめとする
編集の技が重なれば誰でもかっこよく見えてしまう
最高のドキュメンタリー、
それが情熱大陸。

あの番組からオファーがきて
撮影が始まったら、
私はどのように振る舞えるだろうか。

今は内緒だけど、
エトピリカが流れる最後のシーン、
そこでの決め台詞はすでに考えている。

その予習をしたのが3ヶ月前。
タイムスケジュールまで作成して
ページになったのが2ヶ月前。

悲惨でした。
さすがに1ヶ月前の密着は無理だから
一日に限定したのに、
多分ディレクターやプロデューサーは
昼過ぎじゃないと嫌だと言うし、
それならばと泣く泣く昼に時間を設定したら
クソADが間違いなく遅刻する。

中目黒の満開の桜を眺めているシーンから
スタートしたかったのに、
結局は日が落ちるころに始動。
桜、全然綺麗じゃない。

そんな状況で
大幅に予定が狂ったというのに、
カメラさんはなぜか不機嫌だし、
ディレクターは、
なんでこいつなのと言わんばかりの顔をしてくる。

こちとら、
まあまあオモロイ台本書ける作家やぞと
逆ギレしてやろうかと思ったりもするのだけど、
今はまだチカラ足らず。

全部想像の話ですが、
もっと頑張ろうと思います。