BBQ

2022/04/04

荒木建策(放送作家/アリゴ座主宰)

この時期になると
毎年バーベキュー熱が高まってくる。
バーベキューは、私の、いや人間の
3大欲求全てを満たしてくれるイベントである。

まずは、言うまでもなく食欲。
そして、男女が集まるのだから
あとはお好きに...の性欲。
バーベキューは朝が早いから
その日は早めにベッドに入ろう、睡眠欲。

私の場合は幹事のことが多いから
自己顕示欲まで満たせてしまう。
こんな素敵なイベントは他にない。

最後のバーベキューはたしか一昨年。
急遽の招集に応えたのは、
同年代の作家8人、全員男。
おっさんだらけのバーベキューである。

秩父の山奥にある河川敷で、
私じゃない幹事が用意した
肉や魚介類を焼いて食べるだけ。
周りは大学生のサークル仲間なのか、
男女のキャピキャピした声が聞こえているのに、
こちらは肉にかぶりつきながら
しこたま飲んでいるだけ。

正直、和民とやっていることはかわらず、
最近、目の調子が...みたいな話が始まるし、
それこそ和民ですればいい。

ならばと、目の前に広がる深くも浅くもない、
入るにはちょうどいい川があったから
そこで遊ぼうかと思ったけれど、
下流に滝があったから断念。

おっさん、飲酒、滝
3つのキーワードが重なりあったとき、
導き出される答えは水死体である。

川すら奪われた我々にできることといえば、
酒を飲むの一択だが、
飲めないドライバーに配慮して
泥酔するわけにもいかず、
ビール缶に石をぶつけて遊んでみたり、
浅瀬の小魚を追いかけてみたり、
水着ギャルを目で追いかけてみたりと、
やってみたがひとつも楽しくない。
バーベキューは無理に行くもんじゃないなと
心に刻んだのであった。

この思い出を上書きするためにも
今年こそは必ず、好きな人たちを集めて
バーベキューをやりたいと思います。