メイドイン秋葉原

2022/04/11

荒木建策(放送作家/アリゴ座主宰)

最近、YouTubeで修理動画ばかり観ている。
ジャンク品として買ったPCやゲームを
分解して直す姿に惹き込まれる。
SDGsが叫ばれるこのご時世にも合っていて
なんとなく今っぽい気もする。
そして、意外と簡単そう。

うちには、まともに動くPCが1台しかないし、
直してバックアップ用として
使うことができれば儲けもんだ。
ということで、善は急げと秋葉原へ小旅行。

まずは、ジャンクのノートPCでも見てみるか。
4、5台買っておけば
直せるやつがあるかもしれないし、
幸運にも普通に動くやつが紛れているかもなぁ、
などと考えながら電気街をうろついていたら
後ろから声を掛けられた。

「すみませぇ~ん」
振り返ると、そこにはメイドさん。
「探しましたよ、ご主人さま。お家はあっちです」
なかなかのやり口に度肝を抜かれる私に
メイドさんは続ける。
「お昼ごはん、できてますから。さっ」

普段なら絶対行かないが、
秋葉原に独りで乗り込めたという自負が
気を大きくしていたのだろう。
当初の目的をほっぽり出して付いて行くことに。

しかし、入店してみると
初めての体験にガッチガチ。
「お帰りなさいませ、ご主人さま」の声に苦笑し、
注文したオムライスが美味しくなるよう
一緒に魔法をかけてくれと言われたときは
さすがに下を向いた。
目のやり場に困り左を見ると、
口元をゆるませたベテランが...
「もえもえ~きゅん!」

胸元でハートをつくって、
その手を左右に動かしていた。
それを見せられて自分もやってやると決意、
例のフレーズでオムライスに
魔法と恥を込めたところで一皮向けた。

中途半端に場慣れしてきて、
思考を働かせられるようになったところで、
実験をする余裕も。

昔からグリーンピースが苦手だったのだが、
メイドさんの反応が見たくて
グリーンピースを皿の端に残してみると...
「ご主人さまはグリーンピースが嫌いなんですかぁ?
私も苦手なんですよぉ!」

惜しいっ!70点っ!望んでいたのは...
「ご主人さま好き嫌いはダメですよぉ!
もう作ってあげませんよぉ!
がんばって食べましょうね。
はい、ア~ン!」

リアルにキモいなぁ。
でも楽しかったかも知れない。
旅の恥はかき捨て...?

その後ゲットした
ジャンクPCの修理状況については、
またの機会に。