城と私

2022/08/22

荒木建策(放送作家/アリゴ座主宰)

今、私は城にハマっている。
元サッカー日本代表の城(じょう)のことではなく、
建造物の城(しろ)である。

城がいかに合理的に作られたものか知れば知るほど、
先人の技術と情熱に感心するばかりだが、
一番の魅力は圧倒的な存在感だ。

日本の歴史を彩った者の住居がプレハブのわけないし、
高い場所から権威を示さなければならないから
当たり前だろうと言われればそれまでだが、
城には、その存在感を増すために、
様々な工夫がなされている。

二条城や五稜郭のように濠に囲まれていたり、
小田原城のように周囲に樹木が植えられていたり、
そういった作りが城の存在感をマシマシにするのだ。

木というアクセントなら姫路城も最高の部類だが、
駅から出た瞬間に全景が真正面に見えるように
道が整備されているのが高ポイント。
その真っ白な佇まいに圧倒された記憶が
私を城好きにしたと言っても過言ではない。

それから、竹田城。
建物こそ残されてはいないが
霧がかかったときに見える城跡は。
まるで天界と下界を繋ぐ神聖な場所のよう。
まさに日本のマチュピチュである。

首里城は、やや近代的な印象。
城の入り口は砂地であるべきだと思っているから
舗装されたコンクリートはマイナス材料だが、
2019年に首里城が焼けたときに
知り合いの沖縄出身の作家がショックのあまり
会議を休むという出来事があってから、
そのインパクト込みで私的ランキング上位に入る。

それから、
地元五島列島にある石田城。
これが私と城の初めての出会いだったように思う。
こちらも本丸は残されていないが、
城壁の内側には、とある施設がある。
五島高校。
今の私には、なんとも羨ましい環境である。

城のある町というのは良い。
いつか、長めの休みを取って全国の城を巡りたい。
この歳で新たな趣味ができるなんて幸せだと思うが、
いつ飽きるのか、恐くて仕方なくもある。