スマホ、見つかりました

2022/09/19

荒木建策(放送作家/アリゴ座主宰)

スタジオを出るときは確かにあった。
そこからタクシーに乗って、
降りてからは触っていない。
さて、どうしたものか...。

先週のスマホ紛失の話だ。
慌ててタクシー会社に電話するも、
見あたらないの一点張り。
それから計4度、
約1時間おきに確認の電話を試みたが、
その都度見つからないとの返答をもらうだけで、
対応する人の態度は徐々に悪化していく。
こちらに非があるとはいえ、
さすがにその対応は客を相手にする上で
酷すぎるのではないかと思えるほどだった。

いつだったか、
タクシーに忘れ物をしたという偽りの連絡をし、
賠償を求める事件が多発していると
ニュースで見た気がする。
そういう背景もあって面倒事を嫌っているのか。

今やスマホは個人情報の詰まった機械で、
セキュリティに関しては著しい進化を遂げているが、
紛失したとなると不安は拭えない。
悪用されぬよう機能を停止させ、
新機種に切り替えてもよかったが、
タクシーの中に置き忘れた線が濃い以上、
どうしても諦めがつかない。

そこで最後の望みとして、
キャリアのサポートセンターに連絡し、
GPS機能を利用した位置特定をお願いした。
ピンポイントとはいかないまでも、
おおよその場所を絞り込める。
確認してもらったところ、
約4キロの範囲内で移動を繰り返していることが判明。
短時間内で、そう遠くない場所を頻繁に移動する...。
もう、おわかりだろう。
やはりタクシーの可能性大である。

さて、どうしようか。
これ以上、自らタクシー会社に掛け合っても、
おそらくこれまでと同じ扱いを受ける。
そこで、タクシーを呼んでくれたADさんにお願いした。
ここから先は彼の話だ。

「自分もないって言われたんですが、
GPSで探索した結果、車内にあることが濃厚な点、
場合によっては警察に頼むって伝えたら、
1分もしないうちに折り返しがあって
『車内にありました』って...」

ウソのような本当の話である。
その後、すぐに近所まで届けてもらったわけだが、
やたらと言い訳を繰り返す運転手。
ブレーキを踏んだときにスマホが落ちていることに
初めて気づいたとのこと。

5時間以上もブレーキを踏まなかった?
その間、誰も乗せなかった?
事の発端は完全に私の過失なので、
言葉を飲み込み礼を伝えて戻ろうとしたら、
「お客さん、2260円になります」
深夜料金まで取られた。
これからは...気を付けます。