クリスマス

2022/11/14

荒木建策(放送作家/アリゴ座主宰)

街はすっかりクリスマスムード。
私は、サンタクロースの存在を信じていません。
信じたこともありません。

物心ついたときには、クリスマスプレゼントを
届けてくれるおじさんは父の同僚だったし、
そのプレゼントは小売店を経営する祖父母の
店が都会から取り寄せたものだったし、
グリーンランドにはサンタクロースを職業にしている
ジジイがいることを知っていた。

もう少し大人になってからは、
クリスマスに対して怒りすら覚えるようになった。
おもちゃ業界の戦略。ケーキもそう。
街ではクリスマスソングが流れ、
操り人形のように人は揺さぶられて、
なにより半強制的にお付き合いしている異性に
お高めのプレゼントを贈らなければならない風潮が
気にくわないのである。

本当にサンタクロースがいるのなら、
大人になってからもその人が本当に欲しいものが
枕元にあっていいじゃないか。
とりあえず今年は本革のレザーパーカーが欲しい。
いいやつ。

サンタクロースがいないなら、
世界中の人とクリスマスプレゼント、とかはどうか。
全否定のクリスマスイベントの中でも、
学校などで行われるプレゼント交換だけは面白いと思う。
誰に渡るかわからない、わからないからこそ本気で考え、
自分のセンスでプレゼントを選ぶ。
それのワールドバージョンで、
自分の宝物を差し出すのもよし、
懐事情と相談して当たり障りのないものを買ってもよし。

60億人と繋がることのできる壮大なロマン。
メッシから使用済みのスパイクが届いたり、
メキシコのマフィアから新品のピストルが、
小学生のときのように
友人から数週間前の少年ジャンプが回ってきたら
即ゴミ箱行きだが、ドキドキできることは間違いない。

幸せはもらうもの、そしてあげるもの。
まずはもらってみたいなとも思うのであるが、
あげるだけだとしても
人が幸せな気持ちになれるならクリスマスも悪くない。
一足早いですが、メリークリスマス。

最後に雑学をプレゼント。
クリスマスは...
キリストの誕生日ではなく、
キリストの誕生をお祝いする日。
実は、キリストの正確な誕生日はわかっていないそうです。