ゲーム脳

2023/02/13

荒木建策(放送作家/アリゴ座主宰)

年始に大型のテレビを購入した。
散々迷った挙句、
前のテレビの約4倍の面積のものにしたのだが、
これがとてつもなく良い。
サイズを選ぶ段階では、
部屋の大きさに見合わないと思っていたのだが、
表記されていた適正視聴距離は1メートル強。
「離れて見なさい」という時代はいつの間にか
終わっていたのだ。知らなかった。
...ということで購入。

最近は、このテレビで
FPSのゲームをプレイするのがマイブーム。
見えているものが肉眼で見るのと変わらぬサイズで、
ゲームを起動させた瞬間から私は一兵士。
それくらいの臨場感がある。

※ご存知の通りFPSとは、
ファーストパーソン・シューターの略で
画面に映っているプレイヤーのキャラクターは、
所持している武器のみが映っている状態。
キャラクターの全身が映っている状態でプレイする
TPFサードパーソン・シューターよりも没入感がある。

テレビを買い替える前までは、
FPSが苦手だった私も今やFPSの虜。
目下「Ubisoft」(ユービーアイソフト)の
『ファークライ』シリーズにドハマり中である。
特にオススメしたいのが『ファークライ4』。
チベットのとある小国で、
独裁政権を討ち倒すストーリーなのだが、
ヒマラヤ山脈を背に大自然の中で
繰り広げられる政権の奪い合いを体験できる。

チベット仏教の世界にも
どっぷりと浸れる作品で、
いつか「聖地ラサ」を訪れてみたいとさえ
思わせてくれるほどの完成度。
実際に旅行費用も調べてしまった。

そして、逆にリアル過ぎるが故に、
恐怖症を実感するきっかけにもなった作品。
薄っすら気づいてはいたが、
やはり私は「巨像恐怖症」なのである。
要所要所にある巨大な仏像が恐ろしい。
それをロープ一本で登らされるシーンなどは
もはや拷問という他なく、
コントローラーが水没するレベルで
冷や汗がとめどなく出てくる。

それから、日常にも影響が。
遠くを歩く人を狙撃するイメージが過るのだ。
「ここからだと、頭上3センチ上を狙えば、
脳天を打ち抜けるなぁ」などと
無意識に考えているのである。

これは「テトリス効果」の一種で、
思考やイメージ、「夢」が支配されるほどに、
ゲームに没頭している状態を指すらしい。
テトリスを長時間プレイした人が、
スーパーの棚にある箱や道にある建物など、
実世界の様々な形を綺麗にはめ込む方法について、
いつの間にか考えている、
ということから付いた名前で、
他のゲームにも当てはまるらしい。
まさに、私はこれ。
自戒の意味も込めて、ゲームはほどほどに。

故・安倍元首相のときもそうだが、
銃にまつわる事件が起こる度に、
動機とゲームの関連が指摘されて物議を醸すが、
あながち偏見ではないのかも知れない。
とも思うゲーム脳荒木でした。