熱中症のオシャレな治し方

2023/07/24

荒木建策(放送作家/アリゴ座主宰)

熱中症になった。
東京が37.5℃を記録したあの日だ。

13時からのリモート会議が終わり、
次の会議まで時間が空いていたので、
家賃の振り込みをしておこうと外に出た。

気温が37.5℃にもなっているとはつゆ知らず、
なんか今日、暑くないか?と思いながら駅へ。
すると、歩いている最中にクラックラッ。
頭と体がクラックラッ。
とにかく体が熱くてダルい。
エアコンで涼んでいた反動がきたものだと思ったが、
一向に良くなる気配はなし。
家賃を支払い、
まさか空腹によるものかとごはんを食べてみても
良くなるどころか熱は上がる一方。

家に帰って体温計で熱を計るとやはり高熱を示した。
エアコンを24℃に設定したままで寝てしまったから
風邪でも引いたんだと無理やり納得。
...が、しばらくしてあることに気づいた。
私は風邪で熱を出したときに
咳、鼻水、のどの痛み、これらの症状のうち
どれか一つは、必ず合併するのだ。

しかし、今回はどれもなし。
風邪ではない?
もしかして...熱中症というやつか?
ネットで調べてみると...
「外の日差しに照らされたのちに急な発熱と気だるさ」
というのが主な発祥の経緯らしい。
...間違いない、熱中症だ。

病院に行こうかとも思ったが、
そんな気力もなくなるほどに怠い。
こうして独り身の人間は、
誰に看取られることもなく死んでいくのだろうか。
ベッドに横たわり、天井を眺めながら
遠い記憶にある幼い頃を思い出す。

風邪を引いて熱を出したら学校を休めた。
みんなが勉強しているときに、
自分だけ家にいるという優越感を抱きながら
NHKの教育テレビを見るのが好きだった。

そして、なぜか毎回食べさせられた「りんごすり」。
うちでは、いわゆる「すりりんご」をこう呼び、
病気のときには必ず出てきた。

あれって意味があったのか?と思って調べてみると、
「りんごに含まれるリンゴ酸、クエン酸には、
炎症を抑える作用や疲労回復効果があるため
風邪を引いたときには、すりおろしたりんごが
効果的です。また、熱によるのどの渇きを
癒すのにも有効です」とのこと。
めちゃくちゃ意味があった。
それを知ると、
無性に「りんごすり」が食べたくなり、
どうしたものかと考える。

そうだ、UberEatsで頼もう。

「すりりんご」で探してみると、
80件のお店が表示された。

最も上に表示された
近所の洒落たサラダ専門店では、
りんごとケールをすりおろした
ドリンクを提供している店があるらしい。
これは効きそうだ。
ということで、注文。
ほどなくして、運ばれてきた。
やはり、シャレオツ。

ケールのせいか
風邪を引くたびに祖母が作ってくれた
りんごすりとは違うものだったが効果は抜群。
次の朝には、
何事もなかったかのように回復していた。

知らなかったが、
ケールには、今、私が最も関心のある物質
「メラトニン」が豊富に含まれていて、
安眠効果があるらしい。
風邪や熱中症のときには、
最強の組み合わせかも知れない。

皆さんも、もしものときは是非お試しください。