人差し指の話

2017/05/01

ファストフード店でシェイクをテイクアウトしたらストローが入っておらず、
駅のホームで本を閉じようとしたら突風にあおられたしおりが屋根の向こうまで飛んでいき、
オークションで自転車を落札したらペダルが付いていなかった。
他の作家は裸足で逃げ出す安い仕事も全力とまでは言わないまでも、腹八分で取り組んでいるというのに、
何故に乗り換えの最中、しおりの代わりに人差し指を挟まねばならんのか。
おい神様、俺の右手の人差し指は曲げて少年ジャンプの間に挟むためではなく、
真っ直ぐに天を指すためにあるんじゃなかったのかと、
一昨日から2分に1度叫んでいたら、指先に酷いあかぎれができた。
プレステ4のR1、R2ボタンを器用に使い分けていた右手人差し指は、今や絆創膏でグルグル巻きに固定されている。
神様、そういうことじゃない。


E・T作家 荒木建策