プロフェッショナル

2017/05/08

近所のコンビニに、やり手のおじさん店員がいる。
昨晩のことである。
私が差し出した千円札を彼が受け取ろうとしたその時、
どこからか黒っぽい物体が飛んできて、レジに「ポテッ」。
落ちてきたのは3センチほどの茶色い虫だった。
「うわっ、ゴキブ…」と、思わず出た私の声を遮るように、おじさんは静かに、いつものいい声で言った。
「元気な…カナブンですね」。
断言するが、あれはカナブンではない。100%ゴキブリだ。
しかし、それを認めれば店のイメージに傷が付くと瞬時に判断し、カナブンと言い切った上、
「申し訳ありません。あとであの子をちゃんと叱っておきますから」と笑顔で続けたおじさんは、まさにプロ。
間違いなく接客のプロフェッショナルである。
「金の~」という枕詞は、彼にこそ相応しいのではないかと思った出来事であった。

セブンイレブン大好き・金の放送作家
荒木建策