とあるお会計

2023/11/20

荒木建策(放送作家/アリゴ座主宰)

先日の話。
仕事が終わり、
近くのステーキ屋さんで「どん詰まり岡田」さん、
「ジューシー木村」、
そして「アンダーグラウンド飯野」くんと食事をした。

さて、会計という段階になって、
木村が「岡田先輩、ごちそうさまです!」と、
冗談交じりで言ったら
​​​​​​​「こういう時はアレに決まってるんだろう!」
と岡田さんが言った。

ああ、あれですね。
じゃんけんですね。

さすがに作家になりたての飯野くんまで
勝負に参加させるのは気が引ける。
そこで、最初のギャラの振込みが
いくらだったかと聞いてみると●万だったと言いやがる。

​​​​​​​「俺は3000円だった!」
​​​​​​​「振込み手数料を引かれて数百円だった!」
​​​​​​​「振り込まれていることすら気づかなかった」など、
我ら先輩たちは喧々囂々。
新人は生活できないハズなのに
お前は恵まれているという、
お門違いの文句まで出て強制参加となった。

さあ、勝負だ!
という段階になって、
岡田さんが​​​​​​​「俺はパーをだすよ」と宣言。
​​​​​​​「そういうのヤメましょうよ」と
私は、ニヤニヤしながらクレームを入れたが、
これがこのじゃんけんを
俄然面白くすることになった。

一回戦は...
岡田 チョキ(嘘つき)
木村 チョキ(岡田喰い)
飯野 チョキ(岡田喰い)
荒木 チョキ(岡田喰い)

このような結果に。

岡田さんいわく​​​​​​​
「パーを出して、あいこまで視野に入れつつ
様子を見るような奴を、まず狩りにいった」とのこと。
この人の嘘は馴れっこなので、
みんな、ふむふむと聞いていた。

ここで岡田さんが
​​​​​​​「つぎもパーだな」とつぶやく。

参加者全員、
カイジの漫画に入り込んだイメージで
相手の裏をかこうとあらゆる状況をシミュレーション。

そして、第二回戦......
岡田 グー
木村 グー
荒木 グー
飯野 チョキ

たった二回で決着。

飯野くん、素直すぎるよ。
岡田さんを信じ過ぎてるよ!

私も木村も飯野くんを
喰ってやろうとは思っていかなかったが、
岡田さんはニヤニヤしていたので、
きっと狙っていたのだろう。

この食事に飯野くんを誘ったのは私なので、
内心​​​​​​​「悪かったなぁ。あとで奢ってあげないとなぁ」
などと思っていたのだが、

​​​​​​​「こういうことなら、もっと良い肉食っとけばよかった」

と、悔しがっていたのできっと大丈夫。
この悔しさをバネに頑張って欲しいし、
​​​​​​​きっと私も一年目ならチョキを出していたと思います。