20点男の可能性

2023/11/27

荒木建策(放送作家/アリゴ座主宰)

最近の写真アプリの進化は止まることを知らず、
実物を加工して美しく見せるアプリを
使用しないと写真を撮りたくないという女性もいる。
もう女性だけの話ではないかも知れない。

なぜ、実物以上によく見せたがるのだろうか。
私は、あえて写真映りを悪くして、
実物の方をキレイに見せたほうが
好感を持たれると思うのである。

「写真はかわいいのに実物はブスじゃん」
これほど心臓によくない言葉はないだろう。

たまに、芸能人がスタッフと会ったとき、
実際は、そんなに太ってないんですね、
実物の方が断然キレイと言われているのを目にするが、
こっちのパターンの方がよっぽど幸せではないか。

高校の頃、ほとんどの生徒が
ワックスで整髪して登校する中、
ひとり洗いざらしの髪で、
ボサボサ頭の70点の先輩がいたのだが、
理由を聞くと、
「もし女子と休日にデートすることになったら、
これ以上カッコよくなれないから」と
目から鱗の答えが返ってきた。

今でも鮮明に覚えているこの話も添えて、
いろんな場で言っているのだが、
最初からこちらの手のうちを見せてどうするんだと。
第一印象が全てだと言う人はいるが、
一発勝負の面接ではないし、
挽回できるチャンスがあるなら
初回は捨てに徹した方がいいと思うのだ。

イケメンで、金持ちで、性格もいい、
点数にして90点の男子がいたとする。
ここから先、伸びしろはほぼなし。
現状維持できれば問題ないが、
どこかしらボロが出てくるわけだ。
ちょっとしたことが鼻につき、
嫌に思えてくるのが早熟の危険なところである。

一方で、20点のダメダメ野郎は伸びしろがある。
多少、ダメなことをやっても許されるし、
ミスは大きなマイナスにならない。
むしろ、最初さえ踏ん張れば加点される一方で、
マリオの無限1UPみたいなものだ。
20点から70点に上がった男は90点よりも魅力がある。

なんの話をしてるんだって思うなかれ。
20点の男子でもなんとかなるって。

女子も逆ギャップに走らないで、
顔も心も仮面を取ろう。
きっと20点男子が愛してくれるはずだから。

マッチングアプリでの出会いも普通のことになってきた今、
加工写真で生み出されるであろう多くの悲劇を
未然に防ぎたいと思った
おじさんの独り言でした(防御本能)