連鎖する災難

2024/03/11

荒木建策(放送作家/アリゴ座主宰)

電話中に階段から落ちるという、
いや~な感じでスタートした2024年。
その快進撃は、まだまだ終わりそうにない。

先週、用があって小田原に向かう途中に
長年ポケットに連れ添ったスマホが故障した。
しっかり充電したのに画面は真っ暗のまま動かない。
これは一大事だと、
最寄りの携帯ショップに助けを求めるため
電車を降りたはいいが、
スマホがないため場所がわからない。
そこで、通りかかったマダムに道を訊ねると、
歩いていくには遠いという。

どうするべきかと悩んでいると、
マダムは、レンタルサイクルで
自転車を借りればいいじゃないという。
普通はタクシーを利用することを勧める場面で
まさかのレンタルサイクル。
団塊の世代を陰で支えてきたマダム。
その心意気に応えられない男は
ゆとり世代のレッテルを貼られるだけ。

オーケー、マダム。
良かったらケツに乗ってくかい?
と言わんばかりの笑顔でお礼を言い、
簡単な手続きを済ませてザ・ママチャリみたいな
愛車にまたがって空を見上げると、
肌寒さを忘れるほどの青空だった。

こんな日にサイクリングもいいものだ。
家に閉じこもって映画を楽しむのも悪くないが、
たまにはこんな日があってもいい。

風を感じ、見たことのない風景に夢中になる。
そして、愛着のあるスマホを修理しに行くため、
ペダルを踏みしめ、角を曲がった。
そのときだった...

なんと、目の前に携帯ショップが現れたのだ。

おい、マダムよ!
チャリに乗らなきゃ行けない距離だったんじゃないのか?
スタートしてからまだ50メートルぐらい。
この裏切られた感はなんだろう。
なんなら自転車屋より近かったんじゃないか?

今年は、もう嫌。
初詣でお賽銭を15円しか入れなかった罰か?
神様の嫌がらせなのか?
この状況で海外なんか行ったら
とんでもない結果になりそうである。
本厄も終わったというのに
運気が上昇する気配はない。

ほら!
このコラムを書き終えて寝っ転がったら、
その振動でベッドサイドに置いていた
ポテロングをぶちまけた。