二子山部屋

2024/05/06

荒木建策(放送作家/アリゴ座主宰)

最近、毎日のYouTube視聴時間が
本職であるテレビを超えつつある。
無数のチャンネルの中で、
私が特にハマっているのは、
相撲部屋のひとつである
二子山部屋のチャンネル。

二子山部屋と聞いて、
多くの方は若貴を思い出すと思うが、
現在の二子山部屋は、
系譜は同じであれど
当時の二子山部屋とは別物である。

説明すると長くなるため
詳しいことはWikipediaあたりを
参照していただくとして、
動画を観るまでは、
相撲部屋の日常について、
全く無知であった私が、
二子山部屋に惹かれている理由は、
大まかに3つある。

まずは、
本来、朝早く起きて、
現地まで足を運ばなければ
見ることはできない
力士たちの稽古の様子が観られること。
真剣、必死、そんな単純な言葉では
とても表現できない迫力の稽古を
自宅にいながら
覗き見ることができるのである。

知らなかった稽古の特殊なルールを
学ぶこともできる。
例えば、
稽古して勝った方の力士に
周りの力士が
「ちゃし!ちゃし!」と言いながら
詰め寄っていく不思議な光景。
初見の際には、
勝った力士が負けた方に追い討ちを
かけないようにしているのだと
誤解していたのだが、
勝った方が次の相手を指名するルールのため
自分を指名してください、
というアピールしているのだと知った。
そんな今まででは知り得なかった
相撲ならではの様々なしきたりを
学ぶことができるのである。

ふたつ目は、
稽古以外の力士たちのリアルな生活が
見られることである。
巨漢たちが
衣食住を共にしながら生活する様子。
さぞかし暑苦しいだろうと
不躾ながら思っていたのだが、
そんなことは全くなく、
なんて規律に則って
運営されている空間なのかと
感動さえ覚える。

たまに大丈夫かと思うくらい
力士同士でイチャイチャ
(例えばひざ枕)していたりするが、
それすら愛くるしく感じてしまうのだ。

力士たちの日常の中で、
やはり一番好きなのは、
ちゃんこ作りからの食事の様子である。
いわゆる、ちゃんこ番の力士が
イチからメニューを考え、
そして真剣に調理する。

ある力士は、
食事が最も辛い稽古と語っていたので、
単純に美味しそう、という目線で
見てはいけないのかも知れないが
美味しそうなこと極まりないのである。
そのシーンだけでも一見の価値がある。

他の部屋はどうか分からないが、
二子山部屋は、
個性派揃いで、
力士たちの仲が異常なほど良く、
それも魅力のひとつ。
観ていて、つい笑みが溢れる。
そんなチャンネルは、そうそうない。

相撲に興味がなくても
きっと楽しめるであろう
『二子山部屋 sumo food』。
一度観ていただければ、
筆を取った甲斐がございます。